今回私が訪れたのは、豊能町で日本語教師をしている白瀧慎里子さん。コロナ禍で人との交流が制限される中、新しいプロジェクトにチャレンジしています。今考えていることや豊能町への想いなど、詳しく伺ってきました。
外国人として生活したイギリス。「良くしてもらった恩返しがしたい」と教師の道へ
白瀧慎里子さん、自己紹介をお願いします。
私は豊能町に住んでいる日本語教師です。もう20年以上、外国人に日本語を教えています。現在は川西市の国際交流協会の講師や、豊能町内で働く外国人向けに日本語のお手伝いをしたり、個人的にリモートで日本語を教えたりしています。
<白瀧さんは、川西市国際交流協会(公式Twitter、フェイスブックはこちら)の理事を務め、豊能町の社会福祉法人豊悠会『祥雲館』(ホームページ、フェイスブックはこちら)で働く外国人に日本語を教えています。>
日本語を教えるようになったきっかけは?
私は1年間、家族で英国に住んだことがあります。たった1年の英国滞在の間に、様々な形でその町の人々と交流することができました。娘が通う学校などで折り紙を教えたり、教会に連れて行ってもらったり、いろいろな人が訪ねてきてくれたり。当時、私の英語は片言でしたが、寂しいと思ったことはなく、一生の友人に巡り合うことさえできたのです。その時の貴重な経験と楽しい出会いが、私を日本語の先生にしてくれました。当時いただいた、たくさんの「ありがとう」を、私は今もずっと返し続けているような気がします。
ただ学ぶだけでなく、人との交流と思い出が作れる場所に……
《とよのにほんご》はどんなプロジェクトですか?
豊能町に住んでいる、または働いている外国人のための「日本語教室」です。
①学ぶ(楽しく日本語を学ぶ)
②話す(外国人同士の交流の場、そしてたくさん話す)
③つながる(豊能町の良さ、豊能町の人たちの良さや優しさを知ってもらい、地域とつながってもらう)
この3つを目指して、外国人のための温かい居場所を作れたらと思っています。
プロジェクト発案のきっかけは?
豊能町が好きなことです。豊能町に住んでいる外国人には、ここを本当の故郷だと思ってもらえるように、また豊能町を訪れた外国人には、いつまでも心に残る思い出を作ってもらえるように、と発案しました。
私はここ何年かで、豊能町には、いろんな素敵なお店や、素敵なことをしている人がたくさんいるんだなあということを、あらためて知りました。もちろん、交通の便は悪いしデメリットはあるのですが、それらを超えてでも訪れたい魅力も絶対にあると思うんです。でも、それがあまり伝わっていないように思います。
具体的にはどういう風に始めていこうと思っていますか?
いずれは、外国人が日本語を学べる「教室」を開き、3ステップぐらいの授業をしつつ、お互いの交流も深められたらと思っています。さらには、地域の人々との交流の場にもしていきたいです。
しかし、今はコロナのことがあるので、2つの方法を考えています。
①出張レッスン
会社、施設、ALT(外国語指導助手:Assistant Language Teacherの略)を受け入れている学校・英会話スクールなどで、日本語を勉強したいと思っている外国人向けレッスンです。
②オンラインレッスン
Skype、zoom、LINEなどのオンラインレッスンを、プライベートで受けることが可能です。
①、②ともに、今は「交流」というよりは「日本語の勉強」が中心になります。インタビューでご希望をお聞きした上で、一緒に勉強のプランなどを相談しましょう。その時に料金などの説明もさせていただきます。気になる方はぜひお問い合わせください。町外には無料の日本語教室もたくさんありますので、そちらも参考にしていただきたいと思います。
他の日本語教室などとの違いはどんなところですか?
コロナ後を前提として言えば、単なる日本語レッスンだけでなく、『学ぶ⇒話す⇒つながる』という、外国人の集まれるコミュニティー、その先には地域の人々とのつながりを目指しているというところです。
私が英国滞在中に感じた気持ちを、豊能町の外国人にも、ぜひ感じてもらえたら、心から嬉しいと思っています。
さらに地域のつながりを!《とよのにほんご》がその架け橋になれたら
豊能町には、外国人はどれくらい在住・在職しているのでしょうか?
あまりオープンにはなっていませんので正確な数字はわかりません。私のお友だちには豊能町のALTがいますし、地域の交流会を通じて知り合った町内の福祉施設にも外国人が働いています。また、ボランティア登録を見て連絡してくださった方は、配偶者さんが外国人で、もっと地域とつながりを希望されているようでした。
《とよのにほんご》のプロジェクトを、一番伝えたい人は誰ですか?
もちろん、豊能町在住・在職の外国人なのですが、コロナ禍では実際に「日本語教室」に集まることができないのが現状です。そこで、まずは外国人が働いている会社や施設、ALTを受け入れている学校や英会話スクールなどの担当者の方に、この《とよのにほんご》のプロジェクトを知ってもらいたいと思います。
豊能町は、都会から見れば交通の便もよくないし“イナカ”であるけれど、このプロジェクトを通じて『外国人でも居心地の良い町』になっていけば素敵ですね!
そうですね。私の夢は、まず豊能町が外国人にとって安心・快適で「住みやすい」町になること。次に、豊能町が外国人にとって「住みたい」町になること。そして、住まなくても「一度は訪れてみたい」町になること。訪れた人たちの心に残る、温かい思い出を持ち帰ってもらえるような『小さな国際都市』になることです。そのための第一歩に《とよのにほんご》が少しでも貢献できたら!と夢見ています。
《がいこくじんのかたへ》
いっしょに たのしく にほんごを べんきょう しませんか。ゆっくり べんきょう しますから にほんごが はじめてでも だいじょうぶです。くわしく しりたい ひとは れんらくを してください。
インタビューを終えて
『人と関わることが大好き!』と、すばらしい笑顔で話す白瀧さん。相槌を打ちながら楽しそうにインタビューを受けてくださいました。英語には長年コンプレックスを感じているレポーターの私が「もちろん英語はペラペラなんですよね~」と聞くと、『いえいえ、そんなことないんですよ。でも私、間違ってるかな~とか考えずに、思いついたフレーズでどんどんおしゃべりしちゃうんです。』
そう、言葉は人と人とをつなぐもの!ガチガチになって暗記して答えを書いて間違えた~と落ち込むものではないのです。
現在、町内のある場所を《とよのにほんご》の教室として使えないかと、検討・調整中だそうです。コロナが収束し、また日本と世界が交流を始めたら、大阪の北端に小さな国際交流都市(町?)が誕生する日も近いでしょう。
白瀧さんには日本語教師以外の顔も。『老化防止なの!』と音楽も始めたそうで、パートはヴォーカルとドラム。『いつか《とよのにほんご》でバンドが組めたらいいな♪その時は町のイベントにも参加したいです』と夢は膨らみます。『まりこ工房』の名で和紙を使った小物も手作りし、素敵な作品がたくさん。
いただいた手作りの名刺にも、さりげなく、でもきちんと丁寧に、和紙の飾りがほどこされていました。
◆ このプロジェクトの連絡先
とよのにほんご 白瀧慎里子:Mariko Shirataki
MAIL: marichan.shirataki@gmail.com
TEL: 072-738-0899
◆ SUPPORT – 応援おねがいします
- 外国人の紹介
- 会場の提供
- 発信やオンライン化のお手伝いサポーター
取材日:2021/02/16
文:とよレポみほ☆
写真提供:とよのにほんご 白瀧慎里子