耕作放棄地というのが豊能町で課題になっていると聞きました。そのテーマをキャンプで活用できないか、新しいキャンプのスタイルに誘導して、レジャーとして活用しながら、豊能の耕作放棄地をもう一度農地として復興させる役割を担えないかという構想のキャンププロジェクト。今回はそんな想いを持った直江さんにお話を伺いました。
自然と農と人の密接な関わり そこにフォーカスして
ーープロジェクトのきっかけを教えてください。
豊能町高山地区で開催されたキャンプイベントに去年参加し、こんな素敵な場所があるんだって感動して、豊能にほれ込んだんです。豊能町にもっと関わっていきたいと、企画書を作ってトヨノ部さんに行った経緯があります。
キャンプ事業をすることで自然に近い生活を楽しみながら、みんなで耕すことで、都会の人にとっては、里山の風景を楽しむことにつながるし、里山の人にしたら手がつけられなくなった耕作放棄地をもう一度耕作していけるきっかけになるのでは、というのが今回のアイディアだったんです。
キャンプ需要がある、貸し農園が人気だという事は、みんな自然と近い関係性のある生活に関心が集まっているんじゃないかなと思っていて。
例えば農家さんの許可をもらって自然農の実践、ただ自然に発生するのを見る。農薬を使わず勝手に育つものをみてもらう、種を植え、雨が降り、少し芽が出てきた野菜を楽しむでもいい。草刈りをする、お米を育てる、野菜を育てるなどもキャンプのレクレーションとして楽しむ。
例えば安穏農園さんのような自然農で育てた野菜の農園とキャンプ場が隣接し、収穫体験のあと、その場で食べられる、そんなことがしたいなと構想していました。
ーー今回、そのアイディアをもとにプレイベントを実施されたと聞きましたが、どんなイベントだったんですか?
令和3年10月16日(土)17日(日)に、トヨノ部部長の高橋さんが所有している休耕地を使って一回やってみてはどうかとの話をいただきました。
ーーどんな場所で何組くらいの参加があったのですか?
トヨノ部さんが、ひまわりを植えている畑があるのですが、その川を挟んだ裏側でやりました。参加いただいたのは3組でした。
ーー広さは3組がちょうど良かったんですか?
広さはあったのですが、トイレがないのでトイレカーという、車にトイレがついているものを導入しました。その許容量が、100ℓと決まっていて、大体ひとり1回1ℓと考えると三家族くらいが上限でした。
ーーお水や食事はどうしたのですか?参加者の感想はいかがでしたか?
水は各自で持ってきてもらい、皆さんバーベキューなどを楽しみました。
感想は「キャンプサイトと違って、目新しい感じでおもしろい」「設備がほとんどなくて、プライベート感もある。」「通常だと整備されているけれど、そういうのがなくて、自然に近い状態で逆によかった。」「普段のキャンプとひと味ちがう」「景色とワイルドな感じを楽しめて良かった。」などの声をいただきました。
子どもたちがいたので、田んぼのかえるや、むしをつかまえたり、夜にはみんなで花火をやってもらい楽しみました。
※当日のキャンプの様子は下記の動画からご覧いただけます。
とよのキャンププロジェクト l動画
とよのキャンププロジェクト 1分まとめ動画
ーー第二弾はかんがえているのですか?
場所があればできると思っていたのですが、実際トイレカーの持ち出しにお金がかかるのと、参加費取る額も上限があるので、結局マイナスになり、なかなか厳しいです。
もう一つ大きい問題は、耕作放棄地でキャンプつまり、農地で登録されている場所をそれ以外の目的で使うことが推奨できないということでした。
2,3日以内に撤去できるものの造営、撤去は農地でやってもかまわないということを調べていたので、僕は、キャンプテントならできるんじゃないかと思っていのですが、村の生活圏に他人が入ってきてしまうことや、農地は農作物を育てるだけの場所としてやるべきなどといろいろな問題があって、結局イベントは開催一回だけで,先に進めなくなってしまったんです。本当はトイレカーを使ってもっと廻りたかったんですが(笑)
ーー問題はほかにありますか?
問題は正直トイレだけでした。トイレさえあれば今のキャンパーの方は、水も持参するし、ゴミも自分たちでパックして帰るし、何も残さない。そういうキャンパーさんにしかきてほしくないと思っていたので、ブランディングをしっかりやっていく考えではあったんです。
計画ではトイレカーは購入して、毎回場所を選んで、今回は星のきれいな場所ですると決めたら、農家さんと契約を結んでキャンプをする。2年3年とやると、鳥獣被害が減るのではないかとか、耕作放棄地が田んぼになっていってくれるのではないかと考えていました。お互いが良い関係を築くという一つのビジネスアイディアだったんです。
ーー今後の展開を教えてください。
今は法的に難しいということもあり、キャンプ企画は進めていこうとは考えていません。正直このイベントをやって何を学んだかというと法律のことを学びました(笑)
古民家への移住となると不動産サイトにはなかなか情報が出ないので困っていましたが、今はトヨノ部さんに入部し、仲良くさせて頂いています。これからトヨノ部さんの活動にかかわり、町おこしに貢献しながら不動産サイトには載らないリアルな情報や地域の方とご縁へ繋がれば嬉しいです。
実は今、豊能から近いところの古民家を購入しようかと動いているところでもあるんです。そうなったら、元々、カメラマンとデザイナーなので、そこで事務所を構え、様々な魅力を発信していこうと計画中です。
編集後記
とても面白そうな企画で取材に飛びついたのですが、なぜだか最初は口の重いお二人。
良いアイディアなのに、途中で計画が中断していたのですね。「草刈り少し手伝って」って言う農家の方に「一泊キャンプさせてくれたら良いよ」、なんてムーミンに出てくるスナフキンのようなキャンプを、直江夫婦といつかぜひご一緒したいなと思いました。
豊能町はいままでも、開発を選んでこなかった。昔からの自然との営みや、人と里山との関係を静かに感じてみる機会なのかもしれません。トヨノをもっとよりよくするために活躍してくれそうな予感のお二人へのインタビューでした。
NOET PHOTO VISUALS 直江龍也・直江知美
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HP