ストーブが好きだ。それも、年を追うごとにシンプルで古い、クラシックなストーブが好きになっていく。
****************************************************************
今年も残りあとわずかになって、クリスマスの季節も終わったばかりだ。この時期は毎朝少しずつ空気が冷えて、ベッドから抜け出した後も、部屋や廊下、階段の空気はしんとしている。
豊能町は、持ち家が圧倒的に多いところだ。マンションなら、高層階から見える四季折々の景色が、日々の暮らしに潤いを与えてくれるにちがいない。窓から遠くが見えるというのは、とても贅沢で気持ちの安らぐものだと思う。住宅が密集した一戸建ての家を購入してから、そのことに気がついた。
しかし、戸建ての家で使いやすいものの一つに石油ストーブがある。毎年好きな季節というのは、家で古い石油ストーブに火をつけるこの時期なのだ。
最近、販売されている石油ストーブに少し変化を感じるようになった。メーカーは、これまでどちらかというと便利さを追求した製品を作ってきた。しかし、いくつかの新型の石油ストーブは、むしろ便利さの追求を緩め、電池を使わず手動でレバーを回し、点火できるものになっている。相次ぐ大きな災害によるニーズが、機能をシンプルにさせ、これまでの「便利さ」というものを見直そうとしているように思える。
ストーブの機能
化石燃料である石油を使うストーブをオイルヒーターとして大量生産しはじめたのは、あの広大な国土をもつアメリカだ。国内全土に電化が進むのと同時に、暖房器具としてのオイルヒーターも普及した。
ただ、この時代のものには部屋を暖めるという機能以外に、貴重なエネルギーを無駄にしないよう、補助的に「調理器具=クッキングストーブ」としての機能も与えられていた。
アメリカのこの時代の工業製品は、このパーフェクションのように、デザイン性・機能性ともにとても美しく、丁寧に手入れをしながら数十年もの長い間使うことができるものが多い。
同様に、1960年代から今でも高い人気を誇っているストーブにアラジンストーブがある。元々はイギリス製であったものが、現在では日本のメーカーになっているが、現代の安全基準を満たしながらデザイン性にも優れ、とても使いやすい。最近はBEAMSとのコラボレーションのモデルが新しいカラーリングで発売されるなど、決して使えないアンティーク趣味ではなく、新しいファンを獲得し続けている。
先に書いた新型のストーブのほかに、これらのストーブに共通するものは、その機能がとてもプリミティブであることだ。燃料を必要とするが、それ以外には特に自動で何もしてくれない。スイッチひとつでは、部屋を暖めてくれるわけではないのだ。
火は基本的にマッチやライターでつける。芯も手で上げ下げする。炎の調子がおかしかったり臭いがすれば、芯周りの清掃やメンテナンスが必要で、基本的に自分でやらなければならない。長く使える道具というものはそうして丁寧に手入れをしながら使っていくものだ。
人の手ほど優れた道具はないが、こうした作業を自分の眼と鼻と手を使ってするだけだ。作業はプリミティブな感覚を必要とすると同時に、現在の安全基準への知識も必要なのは言うまでもない。
暮らしの道具としてのストーブ
冬の暖房器具としてのストーブは、今ではすっかりスイッチひとつで部屋を暖める便利なエアコンやファンヒーターにとって代わられた。ただ、火という最も原初的なものを利用していることで、暮らしの道具としてのストーブの働きぶりは際立っている。
よく手入れされたシンプルな道具は、日々の暮らしにゆとりを与えてくれる。こうしたストーブは部屋を暖めるほかにも、リビングやキッチンで料理の優秀な助手になる。
ゆっくりコトコトと煮込み料理を作ったり、ケトルでお湯を沸かしてコーヒーを淹れたり、ホットココアや紅茶、日本茶となんでも美味しく飲めるようにいつでもスタンバイしている。そして、電気もモーターもないから無音で静かに働いてくれるのだ。加湿器もいらない。
こうした古いクラシックなタイプのストーブにはプリミティブな魅力に溢れている。
****************************************************************
プリミティブであるということ。
私たちの町には、こうしたプリミティブな空気を感じられる場所がいたるところにある。地元で採れた米や野菜を志向し、時には便利さ一辺倒の生活から離れ、川沿いの森や山道を歩いたり、肉体のしなやかな感覚とともに再び自分の中にある自然を取り戻すことができるのだ。
プリミティブであるということ。
こんな感覚をいつも暮らしの中に忘れないで持っていたいと思う。
4 comments
灯油のストーブ、素敵ですね♡
マンションの我が家、子どもたちが小さい頃は安全面も考えてファンヒーター、今では省エネタイプが出て経済的&結露対策として、エアコン暖房がメインですが、やっぱり・・・反射式の古いタイプの石油ストーブを1つ、リビングに置いています。マッチこそ使いませんが、『火』のある暮らし・・・やかんをかけて湯を沸かし、黒豆やおでんがくつくつ煮え、アルミホイルに包んだサツマイモがじんわりと焼けていく。寒いけど冬もいいなあ~と感じるひとときです(#^.^#)
コメントありがとうございます!
我が家でも子どもが小さかった頃は、ファンヒーターでした。
反射式のストーブもいいですね。子どもの頃、寒い冬の朝、ストーブの前の着替えの場所を兄弟で取り合っていた記憶があります。
これも冬の楽しみと思い出ですね。
今日ちょうど、「豊能町は家好きな人にとって最適な場所だよね。」という話をしてたんです。まさにストーブのある暮らしを楽しむのも、豊能町の暮らしにしっくりきますね◎アンティークなストーブ憧れます^^
コメントありがとうございます!
家の外にも楽しみがあって、家に帰ってきても楽しいなんて、確かにいいですね。
ストーブのある暮らしは、豊能町にとても似合っていて、それもすごく贅沢な環境にいるのではないかなあと思っています。