豊能町在住の染色作家オオニシカナコさんによる草木染めワークショップ【みんなで染めよう「とよのぼり」】に参加してまいりました!
「とよのぼり」ってなんなのよ
豊能町の草花を使って染めた布で大きなこいのぼりを作るワークショップ。豊能町に縁のある人たちと豊能町の自然を布に染めて豊能の空に泳ぐ大きなこいのぼり──つくった人も見た人もみんなで豊能町の「よさ」を再発見するきっかけをつくる、そんなプロジェクトです
公式フライヤーより
青空ひろがる気持ちの良い秋空の下、中央公民館の調理室が会場です。
「こんにちはー!」
運営スタッフのトヨノ部さんのにこやかな笑顔に出迎えられ、教室に入ってみると、すでにたくさんの子どもたちが。
机につくとひとり2枚づつ木綿のハンカチを手渡されました。ハンカチの端が切りっぱなしのものは「とよのぼり」に、ハンカチの端が処理されているものはお土産にどうぞ、とのこと。粋!
こちらが今日の先生、オオニシカナコさん。現役の大学生のかたわら染色作家として、絞り染めを主軸とした作家活動を展開中。ワークショップ、コラボ企画のほか、京都では「はなもとめ」という絞り染めの手ぬぐいブランドも運営されています。
オオニシ先生の、屈託のない自然な子ども目線のお話は、早くも子どもたちのハートをキャッチ。わきあいあいとほんわかムードでワークショップがスタートしました。
輪ゴムでつまんで、どう「絞る」?
輪ゴムを使って、ハンカチを心のままにつまんで・しばって。輪ゴムを使って「色がつかない部分」を作っていきます。これが「絞(しぼ)る」という工程です。
ハンカチをどう畳んで、どこをつまむのかで模様が変わるのはもちろん、輪ゴムの本数でもがらりと表情が変わるそうですよ。
今回のワークショップは、ひとりで作業ができる小学生以上が対象とのことだったのですが、ちょこっとお手伝いしてあげれば3歳児もこの工程を楽しんでいました。
量産していくうち、ウミウシのような未知のSFクリーチャー感が……(笑)
「ヤーコン」で草木染めができるって知ってた?
染料として使うのは、みなさんご存知の豊能町名産「ヤーコン」。
本来捨てられるヤーコンの葉っぱや茎を使って煮出した液を染め液として使用します。原材料がまったく同じだから当たり前なのですが、ヤーコン茶と同じ薬草のような香りが教室中を包み込みます。
香りだけで健康になれそう……(笑)
アツアツのヤーコン茶 ヤーコン染め液の中へ、布を入れていきます。ヤーコンらしい深緑のような茶色のような中間色が印象的です。
お鍋に入れたらそのまま放置。10分後みてみると、うっすらと染まってる…!
布がなぜ染まるの?
オオニシ先生によると、
- 煮出すことで色の成分が出てくる
- 煮出し液へ布を入れると、布の生地に色がくっつく
- この状態では、色と生地の結びつきはとっても弱い
- 「媒染(ばいせん)剤」という金属の液体にひたして、色をぎゅっと定着させる
というしくみで布地が染まるそうです。この仕組みをつかえば「そのへんに生えている雑草でも染められるんだな☺️ 」とのこと。
小学生向けに簡略化して説明してくれたので、わたしにもスッと理解できました!
ジャーン!「スーパーてぶくろ」!!!
ひみつ道具のように厚手ゴム手袋を取り出したオオニシ先生。アツアツの染め液の中から布地たちを取り出してくれました。
鉄・アルミ・銅のチカラで個性が出現
次は色を定着させる媒染工程へ。
水色の液体が銅、透明な液体がアルミ、茶色の液体が鉄の媒染液です。
とってもキレイな媒染液なのですが、実は劇薬。目に入ったり手についたりしないように、先生もまわりのスタッフも細心の注意をはらって用意します。
媒染液の面白さは、色を定着させるだけでなく特性によってそれぞれ個性や色味を変化させることができるんです。
ヤーコン染めの場合、鉄は黒っぽく染まり、アルミは比較的そのままの風合いを活かして、銅は色調がすこし変わるのだそう。
※上記はヤーコンの場合。染料によってガラリと変わる場合もある。
それぞれ好みの媒染液に自分の布地を入れました。みるみるうちに色が変わっていく布地に、子どもたちは大喜び!
媒染液に5分ほどひたしたら、ふたたび「スーパーてぶくろ」の出番。入念に水洗いしてもらいました。
出でよ!俺オリジナルの紋様!!
いよいよ輪ゴムを外してみると、しっかり白抜きになってる!大人も子どもも思わず歓声が上がります。
私たちは大人なので、ある程度「こうなるかなー」と予想をたてながら輪ゴムで結んだのですが、布地の柔軟なやわらかさも手伝ってまったく予想通りにならないんですよね。だが、そこが面白い……!
みんなの作品を干して乾かします。
同じ材料なのに、色も模様もそれぞれ個性が出てる!自然とお互いの作品を講評しあいっこする場面も。
お土産付き!充実のワークショップ
おみやげ用の一枚は、トヨノ部さんがアイロンをかけてくれました。うちの子は、授業で使うリコーダー用のハンカチにする!と喜んでおりました。
オリジナル紙袋がうれしい
サプライズな観光スポット出現!
『12月13日限定で「とよのぼり」が余野川で泳ぐ』というニュースを聞きつけて、一家で駆けつけてまいりました!
場所は「R423 FLOWER ROAD PROJECT」と看板がかかったトヨノ部さんおなじみの活動スポット。これまでに、ある時はレンゲ畑、またある時はサツマイモ畑、そして今年の夏は一面のひまわり畑でたくさんの人を楽しませてくれた場所です。
おとなの遊びゴコロの本気を見よ
「とよのぼり」というかわいらしい名前に反して、舞台袖には見るからに頼もしい堅牢なつくりの支柱が。
これ、プロが思わず本気出しちゃったやつじゃないですか?(笑)
ちょうど見に行った時にはトヨノ部の方がいらっしゃって「いやー大変でした!」と笑顔でお話しを聞かせてもらえました。
1日だけのためにこの支柱を?
このあたりはちょうど山あいに位置しており、時折強風も吹くはず。みんなが安全に楽しめるようにという配慮はもちろん、何か別の企画でも使えるでしょ!とのこと。素敵すぎます。
ヤーコンで染めたみんなの「とよのぼり」。里山の景観を損なうことなく、棚田・ススキ・余野川に寄り添うようにやさしく泳いでいました。
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