八大龍王(川尻地区)
法輪寺にお祀りしてある八大龍王のご神体は、仏像彫刻ではなく、いん石のような石であるといいます。元、川尻中の谷の氷川神社にお祀りされていたものです。
昔、氷川神社が小玉神社に合祀されていたおり、この八大龍王のご神体の石を村社小玉神社に祀るために運搬しようとしました。ところが八大龍王は微動だにしません。
思案にくれた村の人達が今まで神仏混交により祀られていたご神体なので、同じ川尻の真言宗・法輪寺に祀ってもらうご意思ではなかろうと言うことになり、法輪寺の出世大黒天のおそばにお祀りしようということにしました。すると今まで、微動だにしなかった八大龍王のご神体は、いとも軽々と法輪寺まで運ぶことが出来たと言う事です。
天台山岩清水の観音さん
川尻打越に安置されている観音さんは、もと天台山の頂上近くにあったと言われています。
そこには、石清水と呼ばれ、弘法大師の霊泉と伝えられている泉があり、清水が岩間より四六時中湧き出ていました。
その場所は眺めも良く、尼崎・西宮の海が良く見えます。ある年、尼崎・西宮の海では、イワシがまったく取れなくなりました。
漁師さんたちが、良く調べてみると、はるか北方の山の頂近くに、なにかきらきらと光るものが有ります。
イワシのとれない原因はあれではないかと、その光るものをめざして山奥までやって来たら、その光のもとは、天台山岩清水のほとりに祀ってある観音さんであったと言う事でした。
漁師さんたちは、川尻の人達に、なんとか観音さんを尼崎や西宮の海が見えないところまでおろしてほしいとお願いしました。
そこで川尻打越の人達は、観音さんを現在の打越に引き下ろし、お堂を建てて供養してきたと言う事です。この観音さんは、土地の人から「イワシみず(見ず)の観音さん」と呼ばれている川尻打越の阿弥陀三尊さんであります。
この観音さん近くの民家に、毎年、このような立派な「もみじ」が紅葉する。
もみじ狩りに行かれては如何でしょうか
観音さん近くにある民家の立派な石垣。川尻地区にはこの様な立派な石垣のある民家が数軒ある。
豊能町教育委員会発行「豊能町の民話」より