「豊能町産のハミガキ粉を作ると言い出した人がおる」
令和元年度トヨノノドリームの公開プレゼンを傍聴してきた夫が「今年の発表はとりわけ濃かったでー!」という前置きの後、教えてくれた例が冒頭のひとことでした。
ここ里山地帯で?いや住宅街?なぜ?ハミガキ粉??ハテナだらけでとりわけ興味をそそられたのを覚えています。
今回、そのハミガキ粉の発案者である「ひふみ社中」松尾涼子さんへのインタビューが実現!
松尾さんは地元民におなじみ、光風台にある「まつお鍼灸整骨院」を経営しています。ご主人とともに開業し、今年で20年目。歯医者さんではない、鍼灸院のおふたりがこれまたなぜ歯磨き粉を?興味まるだしで色々聞いてみました。
……いや、作りすぎでしょ!
発端は妊娠中の歯と歯茎のトラブル。毎日朝・昼・晩とまじめにハミガキしているのに虫歯や歯周病に悩まれていた松尾さん。「もしかして、これが原因?」と市販のハミガキ粉に疑問を持ち、ハミガキ粉を自作し始めます。10年前から研究開発をスタートし、これまで作った試作品はのべ200個という圧倒的な熱量。もはや執念。ちなみにここまで、業者じゃなくて個人レベルの話です。
なぜ、途中でやめなかったんですか?
「研究を、なぜ途中でやめようと思わなかったんですか?」。歯に衣着せぬ質問に対して、松尾さんはひとつひとつ丁寧にエピソードを教えてくれました。
松尾さん:はじめの第一歩を支えてくれたのは、やっぱり家族ですね。身近な存在だからこそ、いつもシビアな意見をくれるんです。なのに、このハミガキ粉に対しては「めっちゃいいやん!」と手放しで喜んでくれたんですよね。
筆者:へー!たしかにそれは嬉しくなっちゃうかも。
松尾さん:それで気を良くしちゃって、試作と改善を繰り返していたんです。そのうち「もっとたくさんの人にも試して欲しい」と思い、サンプルを配り始めました。知人、友人はもちろん、ご来院の方や自治会で集まった町の人たちにも。
筆者:自治会の集会でも!(笑)「すみわたるきれい」の完成までに、どんなキーマンとの出会いがあったんですか?
松尾さん:「化粧品会社の社長」や「薬膳の発明家」といった、そうそうたる専門家と会う機会がありました。そういった場には必ずハミガキ粉を持参して、「わたし、こんなハミガキ粉を作っているんです。」とアピールして。
筆者:製品に自信もあったと思いますが、ここぞという場面で決して物怖じしない所が素晴らしいですね……。
松尾さん:専門家からも「大変良いものを作りましたね!」という光栄な言葉をもらって、また気を良くしてしまって(笑)。「製品化のためにOEM業者を探しなさい」と有益なアドバイスをもらったんです。
「素直」という最強パワー
エピソードを語る上で「気を良くしてしまって」と何度も謙遜されていた松尾さん。もし私が運良く松尾さんと同じ局面に立てたとしても、「でも〜〜」「どうせ〜〜」「あとで〜〜」といったブレーキを、無意識でかけてしまいそうです。
- 見逃しがちなひとつひとつの言葉や出会いを真正面から受け止める
- 実現するまでひたすら邁進し続けることができる
松尾さんの人柄を語る上で外せない、このシンプルな強さを「素直」という単純な言葉でくくって良いものか迷ってしまいます。
伝説のプレゼン
情熱のままにただひたすら《良いもの》を追求し続ける研究者気質の松尾さん。その背中を見守りながら、ご主人は「製品化するにはどうしたら?」とビジネス展開の糸口をずっと考えていたのだそう。
そんなある日、豊能町主催の支援制度「トヨノノドリーム」の存在を知ります。町の支援をうけながら製品化の夢が叶うかもしれない──。しかしチラシをよく見ると申込〆切の前日!あわてて滑り込むようにして申込書類を送り、幸運のしっぽを掴んだといいます。
「トヨノノドリーム」は、書類審査を通過した12組による公開プレゼンテーション審査が行われるのが最大の特徴。
筆者:公開プレゼンのために、ほぼ販売可能なサンプル品を作ったそうですね。
松尾さん:ええ。そのためにOEM業者を探し回りました。条件が合わず断られてばかりだったのですが、ようやく1社「できますよ」と快諾してくれた大阪の会社があったんです。
筆者:それが(株)不動化学さんだったんですね。
松尾さん:社長さんはじめ重役の方々が直接会ってくれることになったので、まず「豊能町というのはこんなに自然豊かな土地で……」という説明をして。トヨノノドリームの公開プレゼンにできるだけ正規品に近いサンプルを出したいから、ぜひ協力して欲しい!と直談判したんです。
筆者:すごい!OEM製造の依頼だけじゃなく、町の宣伝まで!
松尾さん:豊能町の支援を受けるなら、と。不動化学さんは自然由来の原料や環境への配慮など、理念も一致したことから意気投合しました。
筆者:プレゼンの壇上で「製造先も自分で既に見つけています!」という発言。実現へのロードマップが一気に見渡せますね。会場でのインパクトも相当だったかと。
藻塩と麻炭生まれの粉ハミガキ「すみわたるきれい」
こうして松尾さんは、チャンスや出会いをひとつひとつ価値に変え、10年越しで「すみわたるきれい」を誕生させました。製品のおもな特徴は、カラダに害のない自然由来の原料と東洋医学の観点を取り入れたこと。
筆者:10年かけて一番こだわったのはどこですか?
松尾さん:原料のひとつである塩にはこだわりましたね。まず食塩などの精製塩ではなく自然塩であること、さらさらとした微粒子であること、もちろんコスト面も加味しました。試作を40回くりかえしてミネラルを豊富に含んだ藻塩にたどりつきました。舌がピリピリするような塩からさがなく、まろやかで美味しいんです。
筆者:「藻塩」と聞くと調味料をイメージしちゃいますが。
松尾さん:昔の日本では塩を使用してハミガキしていたそうです。「塩で磨く」ことは新しい考えではないんですよ。日本古来の良いものを復活させたいという気持ちもありました。
筆者:東洋医学の観点というのは?
松尾さん:人間のカラダには「自分で健康な状態を保とうとする力」があるんです。自浄力というんですけども。唾液にもこの自浄作用があって、唾液を滞りなく分泌できる口内環境にさえしておけば、自然と口の中のトラブル(虫歯や歯周病、口臭)を防いでくれるという考えです。
筆者:松尾さんの考える「安全な原料」について教えてください。
松尾さん:口内や舌は、体内へ吸収しようとする力(経皮吸収・粘膜吸収)が特に強い箇所なんです。だから、ケミカルな原料は絶対入れたくなかった。唾液分泌を促す「藻塩」、口臭を防ぐ「麻炭」や「熊笹」、虫歯と歯石を防ぐ鉱物の一種「白土(ベントナイト)」が主な成分です。原材料欄にある「ヒドロキシアパタイト」も化学物質ではなく、歯を白くする効果があるカルシウムの仲間なんですよ。
筆者:すすぎが1〜2回でOKというのも大きな特徴なんですよね。
松尾さん:香料や発泡剤が入っていないので、ほとんどすすぎがいらないんです。そのため、防災やアウトドアアイテムとしても活躍するんじゃないかと。また、介護施設にもおすすめしています。口腔ケアでは、泡が出なくなるまですすぎを繰り返すのが特に大変なんです。「すみわたるきれい」を使用してもらったところ「楽ちん!」「不快感がない」と、介助する人・される人どちらにも喜ばれています。
歯みがきが楽しみになりますように
毎日ルーチンで行われるハミガキ。松尾さんは、少しでもハミガキを気持ちよく、楽しい時間にして欲しかったと言います。
朝には「すっきりした!」で1日をスタートし、夜には「すっきりした!」で1日をフィニッシュ。古来より神事では、塩や麻には払い清める役割があるのだとか。「すみわたるきれい」を使ってカラダを清めるようなリフレッシュ感を楽しんで欲しいという思いが込められています。
この地できちんと良品を作る
ちなみに先日、地元の氏神様である吉川八幡神社へお参りし、「すみわたるきれい」を奉納されたそうです。松尾さんのものづくりへの誠実さを物語っていますよね。
味わってほしい粉ハミガキ「あ、おいしい」
私も以前、商品を試したことがありまして。
一般的なチューブタイプの練り歯磨きと粉ハミガキ「すみわたるきれい」は見た目も使用感も全然違います。濡らしたハブラシにチョンチョンと付けたら、いつも通り磨くだけ。体感してほしいのは、口に入れた瞬間の「あ、おいしい」。
同席したみなさんも「おいしい、おいしい」とペロペロなめたり、「私も食べていいですか?」と《食品》として認識しているのが新しすぎる!ハミガキ粉です、それ(笑)
何日か試用した人が「もう市販の練り歯磨きには戻れない」と言ったそうなのですが、これには完全同意。うちの小学3学生も「まだ発売されないの?」と販売を心待ちにしています。
インタビューを終えて
松尾さんに初めて出会ったのは、トヨノノドリーム採択後の打ち合わせでした。10年間研究、200個もの試作品、伝説のプレゼン……飛び出すわ飛び出すわ、熱量高めのおもろエピソード。「こんなに可愛らしい方に、そんなパワーが?!」と驚いたのを覚えています。
当時、私の役目は「すみわたるきれい」のロゴやラベルを作ること。デザインを起こすにあたって製品の良さ、効能、ひふみ社中の理念など、一通りは知っていたつもりでした。
けれど実は「そもそも、なぜこんなにも情熱を傾けているんだろう?」「なぜやめようと思わなかったんだろう?」といった、ご本人を知るための疑問はむくむくと湧き上がっていて。
だからこそ今回のインタビューは私にとって念願でありました。ずっと知りたかった松尾さんの人間力。すべての方角に真正面を向くこと、言葉や事柄をシンプルに捉えること、何より自分の判断を信じていること。私にないもの・なくしてしまったものの数々にハッとさせられました。
アドバイスを確実に体現する松尾さん
インタビューの際、松尾さんの大学生時代から今に至るいきさつを聞いて確信したこと。松尾さんは昔からずっとコツコツと探究し続けられるバイタリティの持ち主なんです。加えて「運命」という言葉がしっくりくるほど、導かれるまま素直に歩んで来たことがわかりました。そんなエピソードをほんのすこし。
北新地のおでん屋さんでアルバイトしていた18歳の松尾さん。《人生の恩師》となる雇い主のママから「あなた鍼灸師になりなさい」と言われたひとことをきっかけに猛勉強を始めます。朝は鍼灸整骨院での実習、昼は専門学校で勉強、夜はおでん屋さんのバイト、という三重生活(!)の末、当時難易度が非常に高いと言われていた国家試験・鍼灸師の資格を取得します。
筆者:え?おでん屋のママのひとことで、やり切ったのですか!?
松尾さん:はい。ママは特別鍼灸に通じていたわけではないんですけども(笑)。今思えば、自分の意思というより、導かれるように、でしたね。
「すみわたるきれい」の真価は、松尾さんの人柄とリンクしているんだな、と納得。「すみわたるきれい」も、松尾さんも、知れば知るほどお互いの魅力が増す感覚を覚えました。
豊能町民だけの先行発売!限定400個
藻塩と麻炭生まれの粉ハミガキ「すみわたるきれい」20g(約200回分)2,420円(税込)
2021年3月末日より、いよいよ販売開始となります。
現在可能な購入方法は、以下の2つ。
●店頭販売
ひふみ社中[まつお鍼灸整骨院]の店頭にてご注文ください。
〒563-0104 大阪府豊能郡豊能町光風台3丁目20-11
TEL:072-733-3335
●ネットショップ販売
公式ホームページでは通販・配送対応も実装予定。
https://www.sumiwatarukirei.com/
別途配送料がかかるため、お近くにお住まいの方は店頭販売がおすすめです。
豊能町の産業としての期待。受注生産のご協力
今後は、受注生産型で製造予定です。みなさんに日常品として定期的に使っていただくことで、今後豊能町の大きな産業として動き出します。ゆくゆくは豊能町内の雇用問題を解決できるはずと構想中。下記の3つの方法でぜひ応援してください!
●バイヤー、販売店募集
「すみわたるきれい」をお店へ置いてくださる販売店、またはバイヤーさんを募集しております。ご興味のある方は下記連絡先よりご連絡ください。サンプルを差し上げます。
TEL:072-733-3335
●公式アンバサダー募集
アンバサダーにご登録いただいた方には商品をお渡しします。もちろん実際に使っていただいてOK。FacebookやInstagramなどのSNSを通じて「すみわたるきれい」の使い心地をぜひリアルなクチコミで伝えてください!
募集条件
- 日本国内に在住の方
- Instagram、Facebook、Twitter、Youtube等のSNSで「すみわたるきれい」の商品やご利用しているところのお写真・動画を月2回以上投稿できる方
- 投稿いただいたお写真・動画やInstagramの投稿及びストーリーズを弊社アカウントにてシェア及び写真のサイト掲載を許可をいただける方
TEL:072-733-3335
●ふるさと納税で応援してください
豊能町が加盟する「ふるさとチョイス」にて寄附金を募集します。
クラウドファンディング型のふるさと納税で寄附することで、通常のふるさと納税と同様に寄付金控除が受けられます。2021年6月4日までの60日間、みなさまのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いします。
◆ このプロジェクトの連絡先
ひふみ社中(まつお鍼灸整骨院内) 松尾 涼子さん
〒563-0104 大阪府豊能郡豊能町光風台3丁目20-11
TEL:072-733-3335
HP : https://www.sumiwatarukirei.com/
◆ SUPPORT – 応援おねがいします
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取材日・2021/02/12
文・宇都宮頼子