みなさんこんにちは。Manierenです。
今日は、豊能町でスタートする“異世代ホームシェア”のお話しです。
ホームページでホストファミリーの募集が始まっています。7/14には説明会もあるようです。
「ほーむしぇあ」ってなんだろう?
早速、「えいごなので、えいごで調べよう」というわけで、インターネットで調べてみると、ありましたありました「ホームシェアインターナショナル」なる組織。どうやらイギリスで開設された公益法人で、世界各国のホームシェア団体とつながったり、世界会議を行ったりしているよう…
ホームシェアは、無関係の2人が、住まいとくらしを共有することで相互利益を生み出すものです。ホームシェアのハートは、交際と助け合い。お金などの利益ではありません。
ふむふむ。私の英語力はともかくとしてなんとなくわかります。でも“交際”ってなんだ?
ホームシェアラーは、次のことを提供するでしょう。交際、ショッピング、家事、庭仕事、子どもの世話、ペットの世話、コンピューターの使い方を教える…
また出てきた。“交際”。恋人同士でもあるまいし。ただ、いわゆる“シェアハウス”とはちょっと違うようです。若い人がおばあちゃんにスマホの使い方を教えている、なんて映像が浮かびます。しかし”ホームシェアラー”って…
ホームシェアは、手ごろな価格を求めるニーズ…しばしば若い人たち、と、サポートを求めるひとりぐらしの人たち…ふつうはお年寄りのニーズ、の双方を解決するでしょう
リーズナブルな部屋を求める(しばしば)若い人が、(ふつうは)お年寄りの家の空き部屋を借り、暮らしの中の交流や、お手伝いなんかもしながら、助け合って暮らすこと。つたない英語力を使って得た答えは、異世代ホームシェアとはつまり、「若者がお年寄りの家で下宿すること」のようです。なーんだ。
なぜ、いま下宿なのか。
私にとって下宿といえば、ちょっとモノクロの世界。戦後すぐ、祖母の家に学校の先生が2人下宿していた、とか、父親が学生時代、荻窪のクリーニング店に下宿して大変お世話になった、とか。伊勢丹へ預かりものを運ぶバイトをしながら、学校に通って…と、よく聞かされました。
それが、今、なぜヨーロッパで?
2003年、ヨーロッパが酷暑に見舞われ、パリでは高齢者を中心に1万人以上が熱中症で亡くなられました。もともとパリの建物は気密性が高く、窓なども分厚くて、「カチャッ、ガラッ」とあけるというよりは「グリグリッ、グゥブォォ」っと開けます。しかも数が少ないうえに小さい。また、一般家庭ではラジエターはあってもクーラーもない、といった環境だった、熱中症への認知度が低かった、といったこともありますが、問題となったのは、犠牲者の多くがひとり暮らしのお年寄りだったこと。これを機に、NPOの活動を中心に、フランス版異世代ホームシェア「ソリデール」が広がりました。孤立しがちな高齢者と、リーズナブルな暮らしを求める若者をマッチングしよう、それでwin-winになろう、というコンセプトは、またたくまにヨーロッパ各国に広がったようです。
そんなヨーロッパに比べると、日本では多くの家にクーラーがあり、すぐ開く窓があり、熱中症のことも多くの人が知っているはず…しかし、ひとり暮らしのお年寄りが熱中症でなくなった、というニュースを毎年聞くような気がします。
そんな日本でも、世田谷区のNPOがはじめたり、京都府が中心となってスタートしているようです。少しずつ動き出した異世代ホームシェア。それが、豊能町ではじまるのです。
しかし今の時代、下宿なんてうまくいくんだろうか…たしかにこのまちはお年寄り世帯も増えているし、空き部屋も多いだろうけど、どんな感じなんだろう…
体験談を聞いてみた!
というわけで、スタートに先立ち行われた“お試し版異世代ホームシェア”を体験された方にお話を伺いました。
お試し版は、本格スタートに先立って、まさに、それぞれの暮らしはどんな感じなんだろう、利用にあたってどんな注意点があるのだろう、ということを検討するために約2週間行われたとのこと。
参加されたのは、東ときわ台にお住いのUさんご夫妻、そして履正社医療スポーツ専門学校に通う、Kくん、Oくんのふたり。
期間中の生活の様子をお聞きすると…
Uさん;ごはんは毎日一緒に食べていました。食事づくりの時は、普段と違ってメニューなどいろいろと工夫してやっていたので、刺激になりました。
Kくん;休日に庭でバーベキューをしたり、お好み焼きを作ってもらったりしました。普段一人暮らしなので、ごはんがおいしかったこと、栄養のことが良かったです。
Oくん;オムライスがおいしかったです(笑)。たくさん作ってもらい、いつもおなかいっぱいでした。
Kくん;Uさんが地域の活動でマジックをされていて、その予行演習を見せてもらいました。たくさん見せてもらって、楽しかったです。
Uさん;休みの日はお互いに外出していたのであまり顔をあわせなかったのですが、あまり活動を縛られてもしんどいと思うのでこのくらいで良かったと思います。
…ほかの人にもおすすめしたいですか?と聞いてみました。
Kくん;家が遠い人、新入生、地方から来る人は魅力的に感じると思います。
Uさん;学生が住むと生活にハリが生まれます。気を使いますが、子育てをしていたころを思い出しました。
…思ったより楽しそうに過ごせていたようです。ただ、期間が2週間だったこともあり…
Uさん;お客さん扱いで、家の用事をいろいろ頼むのは違うかと思い、特にお手伝いを頼むわけではなかったです。
Oくん;普段(家が遠く)5時起きだったので、楽になるかと思ったら、いつもどおり5時に起きていました。今回は短期間だったので、特にこうしたい、こうしてほしいというのもなかったです。ただ、食事のあといつ食卓を離れていいのか迷いました(笑)
Uさん;食事の時は話題に気を使いました。2人とも気を使ってないと言っていたけれど、別の場所で食べてもよかったかも。世代で食べるものが違うこともあり、長くやると食事面が一番の問題になるかもしれません
…う~む、結局長くやってみないと、わからないことも多そうです。役場の方によると、京都府で行っている異世代ホームシェアのお話を聞くと、“お互い気を使いすぎると失敗する”とのこと。今回は短かったのでまだまだ“お客さん”の域をでなかったようですね…。一人暮らしや実家から通うよりも時間に余裕ができたり、安く済んだりする。でも気は使ってしまう…
Uさんは「本格実施もやってみたいな」とおっしゃっていました。Kくん、Oくんはすでに普段の生活リズムができているので、すこし窮屈なところもあったようですが「新入生にはいいかもしれません」とのこと。ただ、場所だけでなく、生活をシェアすることになるので、相性や向き不向きはあるかもしれません。Kくんは「Uさんはひと目見ていいひとだ!と思ったので、安心してスタートできました。お母さんもすごくやさしい」とも言っていました。うまくいったのはUさん夫妻のお人柄によるものかもしれません。
親子でもないし、同世代でないのでギャップもあるし、お客さんでもない。くらしをシェアするということは家族になるということ?異世代ホームシェアのくらしって改めてなんなんだろう…
ここで、ホームシェアの定義を思い出しました。ホームシェアのこころは「交際と助け合い」。ひっかかっていた「交際」というのは、家族未満の、“交わり”“おつきあい”ということかもしれません。そこに助け合いが加わる。赤の他人同士なのですから、暮らし方もすこし違ってくる、ということなのかもしれません。
いよいよホストファミリー募集が始まったトヨノノ異世代ホームシェア。これまでの下宿のイメージをこえて、あたらしい家族のかたち、暮らし方、人と人とのかかわり方、そんなことが見えてくるのかもしれないと思いました。機会があれば、また取材してみたいと思います!
お話を聞いていてふと目にしたこれ。ちょうど母の日の期間だったこともあり、Kくん、Oくんが相談して奥様にプレゼントしたそう。彼らには「お母さん」なんですよね。
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