豊能町高山地区は、里山の風景が残り、美しい棚田が広がるビュースポット。そんな高山地区を一望できるところに隠れ家のように静かに佇むのは、ジビエ料理と自家製ワインのお店「オーベルジュヤマガミ」さん。(トヨノノレポーターの過去の記事はこちら)
店主のヤマガミさんは、大阪市北区でイタリアンレストランを経営後、高山の自然に魅了され移住しました。農家民宿レストラン運営だけでなく、狩猟から行うジビエの食肉処理加工、棚田を再生しぶどう栽培から行うワイナリー事業や稲作など活動は多岐に渡り、2020年には農業法人「株式会社里山創生研究所」を設立されました。
そんな代表山上さんの里山を活かした取組が、この度「近畿農政局ディスカバー農山漁村(むら)の宝」として選定されました!
「近畿農政局ディスカバー農山漁村(むら)の宝」選定証授与式へ
選定証授与式が行われたのは、2024年12月25日(水)のクリスマスの日。
農林水産省近畿農政局の方のほか、豊能町農林商工課、NPOふるさとおこし協議会理事長、高山自治会長などが出席され、私はトヨノノレポーターとして取材へ行ってきました!
選定式では、選定証授与のあと記念撮影を行い、意見交換会へ。株式会社里山創生研究所のみなさんと出席者とともに山上さんの思いや今後の展望について意見交換を行いました。
「近畿農政局ディスカバー農山漁村(むら)の宝」にエントリーしたきっかけは、遊休農地に放置された背丈くらいの雑草をメンバーとともに綺麗に開墾したことから「これだけ仲間が頑張ったから、なにか賞をもらって認められたい!」という思いで調べているうちに見つけ出し、エントリーしたんだとか。
今回、山上さんの取組が「都市住民にとっては食育の機会や魅力のある体験となり、都市農村交流の拡大につながり、取組の持続性が確保されている」と認められ、選定されました。
町外から集まった多彩でプロフェッショナルな仲間たち
メンバーは畑担当者が11名、狩猟担当者が8名、土木や木工のプロも揃い、現在約20名で活動されています。油圧ショベルや草刈機などを取り扱いながら、階段も手作りしてしまうほど、プロフェッショナルなメンバーが集まりました。そんなメンバーによって日々アイデアが飛び交い、実行に移していった結果が今なんだとか。
当初は大阪市北区でイタリアンレストランをしていた頃のお客さまやNPO法人ふるさとおこし協議会の仲間からのスタート。SNSをきっかけに町外からもたくさんの仲間が集まってきたそうです。今では町内のメンバーよりも町外からのメンバーの方が多いようで、都市住民のメンバーからは「自給自足の生活がこれから大事になってくる中で、この取り組みこそがまさに自給自足そのもの!」「自然の恵やそれぞれの得意を活かした活動が楽しい」という声もあがりました。
遊休農地でワイン作りに挑戦!
今までの大変だったエピソードは、なんと言っても遊休農地を再生することが大変だったそう。ワインはもともと坂であり水捌けの良い土地で栽培されるのが一般的ですが、この土地はもともと田んぼだったことから水捌けが悪く土づくりからのスタート。雨で腐食されている土壌を水捌けをよくするために油圧ショベルを使って開墾する必要があったそうです。ワイン作りに関しては約8年ほど取り組まれており、当初は鹿に苗木をすべて食べられてしまうなどのトラブルもありました。
獣害対策として、フェンスを立てたり、木の処分などの重労働もありました。それでも「高山の気候は信州に似ていることからワイン作りに適しているし、平面だからこそ作業がしやすいところもある」と悪い面だけでなくメリットもあったといいます。そんなトラブルやデメリットでさえもポジティブに捉えるメンバーに支えられたそうで、「仲間がいたからここまで来れた。仲間に一番の感謝を伝えたい」と山上さんは語ります。
豊能町・高山だからできたこと
豊能町だからこそのやりやすさもあったといいます。実現に向けて、豊能町役場に何度も足を運んだ山上さん。役場の方はその度に親身になって相談に乗っていただいたそうです。また、大阪市内からも近いことで仲間も集めやすく、高山地区には兼業農家の方も多いため、自治会長をはじめ地域の方に受け入れてもらいやすい環境だったこともありがたかったとか。
豊能町・高山の里山創生を研究し続ける
そんな山上さんの今後の展望は、「今までの取り組みで地盤は固まったので、これからはワイン作りに集中し、雇用を生んでいきたい」とのこと。「都会の人にぜひ遊びに来ていただき、豊能町・高山の自然の豊かさを感じてほしい」と語っておられました。
今年度からはキッチンカーもスタートし、ジビエカレーやジビエジャーキーの販売など、ドッグアジリティなどのイベントに出張されています。「高山地区は涼しいからドッグアジリティにも適している。もしドッグランができたら来場者や関係者がたくさん訪れて活性化できるかも!」と意見交換会の盛り上がりは絶えぬまま、今後の発展が楽しみになるお開きとなりました。豊能町・高山からどんどん人の力や自然の恵を活かして里山を創生していく山上さん。今後の株式会社里山創生研究所の取り組みにも目が離せません。ぜひご注目を!
オーベルジュ ヤマガミ ジビエ料理と自家製ワイン
住所:豊能町高山23
電話:072-734-7365
営業時間:ランチ11:30 – 14:30 ディナー17:00 – 21:00
定休日:火・水・木曜日(狩猟日)
※ご予約がない場合は狩猟や田畑の作業に出ておりますので、前日までのご予約をお願いしておりますが、当日予約をご希望の際も一度ご連絡ください。
https://www.satoyamasouken.co.jp/