トヨノノレポーターの前身「豊能町魅力発掘隊」という、豊能町のシティプロモーション事業が始まった時に知り合った 宇都宮正宗さんにインタビューをしてきた。
「とよのていねい」という素敵なWEBサイトを運営し、 豊能町で3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)の デジタルコンテンツ工場ができることを夢見る宇都宮さんは、デジタルな世界を愛しつつ、まちの未来をカジュアルに考えられる、 やっぱり素敵な人だった!
─── こんにちは。改めて、宇都宮さんにインタビューする日が来るなんて思ってなかったです。
宇都宮 確かにそうですね。
─── 宇都宮さんとは出会って、もう5年くらいですね。
宇都宮 もうそんなになりますか。
─── 今日はどうぞよろしくお願いします。
宇都宮 こちらこそよろしくお願いします。
ゲームの世界だけじゃない3DCG!
─── 3DCGというのは、直訳すると3次元のコンピュータグラフィックスということですね。
宇都宮 言葉にするとそうです。
─── 主に、ゲームの世界で使われるイメージがするんですが、いかがでしょう。
宇都宮 ゲームだけとも限らないんですよ。例えば、映画。 それまでスーパーマリオなど、絵のイメージが一般的だったのを、実写のように描かれた映画が現れたんです。
─── それは?
宇都宮 「ターミネーター2」です。
─── 監督はジェームズ・キャメロンでしたね。
宇都宮 あの映画で描かれた液体金属の描写。金属がドロっと流れ落ちるシーンが、CGだったんです。その後の「トイ・ストーリー」はおもちゃを描いてました。でも「ジュラシック・パーク」で世界はもっと驚いた。生き物が動いたから。
─── 確かにあれは、驚きましたね。
宇都宮 後に「ロード・オブ・ザ・リング」とかにつながっていったんです。最近では「パラサイト」という映画もセットをCGで描いています。
─── わあ!僕も映画は好きでしたが、そんな映画史があったんですね。
絵を描くように、3DCGを描く
宇都宮 でもゲームの世界は、映画を遥かに凌ぐ市場規模なんです。例えば、このテーブルの上にあるお菓子。もっと引くとフリスクがある。こういう、ちょっとした背景にあるもののリアルさが、作品のクオリティに影響する。でも、直接本筋と関係ないものを自社の社員に描かせると高くなるので、どんどんアウトソーシングすることになるんです。
─── そういったものばかり作る人がいるんですか?
宇都宮 これを豊能町で作る人が増えればいいなと思っているんです。例えば、CGのお皿セットが8ドルで売っている。ゲームを作る人は、これを買うだけ。作る必要がない。
宇都宮 この鳥居のセットは25ドル。絵を描くのと同じで、それを売っている感覚です。女性が作るものもとてもいいんですよ。例えば、ぬいぐるみとか女性らしい感性で作るのもそうですが、ガイコツとか、普段おとなしそうな女性が、意外に男性が作るものとは違ったタッチのものになりやすくて、とてもおもしろいものになりやすい。だから、女性の方々にも一度ぜひやってみて欲しいんです。
宇都宮 3DCGはこんな具合に作るんです。
宇都宮 こんなのもあります。雪だるまです。
宇都宮 もともと3DCGというのは、英語ではシェイディング=「Shading」と言って影を作る処理、光と影で描く世界なんです。
─── わあ!それは僕の好きな世界だ。
宇都宮 そうですね。ロク×ロクさんの好きなモノクローム写真と同じですね。そういう世界なんです。
─── それを聞いて、とても西洋的なものだと思いました。かつて、江戸時代に初めて西洋画が入ってきた頃、日本画の技法では、鏡餅を上からみた絵を描けなかったことを思い出しました。二重の円を線だけで描くんですが、そうするとただの二重丸になる。西洋画では光が射す方向と反対に影を描くことで表現したので、とても衝撃を受けたんです。西洋画の伝統ですね。
宇都宮 日本画の場合は形が重視されるんですが、3DCGの場合は、形=「Shape」の他に、表面=「Surface」も大切な要素です。「Shading」「Shape」「Surface」、3DCGはこの3つの「S」で成り立ってるんですね。
豊能町で3DCGを描きまくる!
─── 宇都宮さんは、どういうきっかけで始めたんですか?
宇都宮 20代の頃、偶然やってみたらすごく楽しかったんです。やり始めるととても集中できて、私自身はとても楽しかった。
─── どういう楽しさだったんでしょう?
宇都宮 デッサンする楽しさですね。絵筆を持つかパソコンで描くか、アナログかデジタルかの違いです。かつては100万円もしていた3DCGのソフトが主流だったんですが、今は無料で使うことができるソフトでもかなり高度なことができるんです。やってみたいと思う人なら誰でもできると思います。豊能町で3DCGをする人たちを増やしたいと思うんです。とよのんの3DCGとか、需要があるかどうかわからないけど、面白いかも。町ぐるみでやっているようなところは、どこにもないと思います。
─── 趣味と実益にもなる。
宇都宮 自分で作ったものを売ることもできるんです。むしろ、誰も作らないような変わったものの方が、売れるかもしれない。実際にはそんなにうまくすぐ売れるとは思いませんが、結果としてデジタルコンテンツに強い豊能町というブランディングになって、子供たちの将来への希望にもつながるといい。
─── どうやって広げていくかですね。
宇都宮 過去に、WEBアニメーションツールのユーザー勉強会を主催したこともあって、参加者の中から多くの有名なクリエーターが育ちました。専門学校や大学での講師も務めていたので、その経験も活かしたいと思っています。
─── それは知らなかった!
宇都宮 でも、私が教えるようなやり方ではやりたくないんです。できるだけフラットな感覚で、互いに教え合うような自由な形で始めたいと思っています。知っている者同士で始めると、新しい人が疎外感を感じてしまうので、 できれば知らない者同士で始めたい。
─── どんな方にこの記事を伝えたいですか?
宇都宮 若い方やご年配、主婦の皆さんなど、コンピューターグラフィックスなんてとてもとてもと尻込みしてる人に伝わればいいなと思います。
─── 最後にこの記事を読まれた方へのメッセージをお願いします。
宇都宮 みんな初学者。オンラインでグループになって、探り探り楽しくやりたいと思っていますので、面白そうだと思ったら、ぜひ一緒にやりましょう!
◆ 連絡先
宇都宮正宗さん
Mail: masamune@utweb.jp
◆ SUPPORT – 応援おねがいします
- 生徒さん募集!
取材日:2021/02/07
文・撮影:ロク×ロク